漢方薬について

化膿で使われる「排膿散及湯」。湯と散、どっちが正しいの?

「排膿散及湯」(はいのうさんきゅうとう)という漢方薬をご存知でしょうか?
 
私(前原)が調剤薬局に勤めていた時に化膿性疾患、特にざ瘡(ニキビ)に処方されているのを見かける事が多かった漢方薬です。
 
当時は「化膿している為、この漢方薬が使われているのだな。」
 
という程度に考えていたのですが、その方の状態によっても使い分けをすることができます。

今回はその「排膿散及湯」を説明していきますね。
 
まずは「化膿」の説明からしていきましょう。

そもそも「化膿」とはどのような状態?

辞典には、
 
化膿菌などの感染によって炎症時に血液中から好中性白血球が滲出し、これが変性してきて黄色の滲出液(膿)となるもの
 
と記してあります。
 
うーん難しいですね…(笑)
 
簡潔に言うと、外からバイ菌が入り、バイ菌を倒すために体の免疫(好中球)が戦ってくれます。
 
菌がいる場所で戦いが起きることを一般的に「炎症」と呼びます。
 
熱くなり「炎症」がおこる事で、菌を包んで倒してくれた「好中球」が黄色くなって体の外に出てきたものが「化膿」
 
とイメージしてもらえればわかりやすいかもしれません。
 
次は「排膿散及湯」のご説明していきますよ~

「排膿散及湯」てどんな漢方薬?

 
「排膿散及湯」って「湯」と「散」どちらも入っています。
 
「湯」なの?「散」なの? その違いは? 説明させて頂きますね。
 
歴史をたどると、元々は「排膿散」「排膿湯」という2つの漢方薬があり、それを合わせた漢方薬が「排膿散及湯」になります。
 
この2つを最初に合わせて使ったのが吉益東洞(よします とうどう)先生【1702-1773 広島県出身の漢方医】と言われています。
 
初歩的な「湯」「散」の違いですが、
 
煎じて飲む薬→「湯」
 
生薬を道細かく砕いたもの→「散」
 
です。
 
一般的には煎じて飲むものの方が、効果が高いのですが効果が緩やかと言われています。
 
そして散剤の方が効き目は薄くなりますが、即効性で効きが早いと言われています。
 
漢方薬にも相性があり「散剤」が良い漢方もあれば、「湯」の方が良い漢方もあるのでどちらが良いという事はありません。
 

「排膿湯」と「排膿散」について

「排膿湯」「排膿散」は先ほど説明しました「湯」と「散」とは全く違います。
 
「排膿湯」「排膿散」は、化膿の状態によって使い分けをしていきます。

「排膿湯」は、
 
〇桔梗
〇大棗
〇甘草
〇生姜
 
からなり、「症状の初期」または「治りかけ」に使います。
 
「排膿散」は、
 
〇桔梗
〇芍薬
〇枳実
 
からなり、症状が進行し「患部が硬結している時」に使用します。
 
生薬の説明をさせて頂くと、
 
「排膿湯」「排膿散」どちらにも入っている「桔梗」は化膿を防止する生薬になり、排膿作用があります。また抗菌作用もある生薬です。
 
「大棗」「生姜」「甘草」が加わる事で脾胃(消化器系)を調和し、自然治癒力を高めてくれます。
 
「排膿散」は、「桔梗」と「芍薬」により患部を緩める効果が、「桔梗」と「枳実」により固いものを柔らかくする作用が高まります。
 
これをざ瘡(ニキビ)の状態に例えると、
 
〇「初期」は患部の腫れが柔らかい為、「排膿湯」を使います。
 
〇「盛期」は患部が固くなり大きくなっている為、「排膿散」を。
 
〇「自潰期」は膿が排出して破れる、または固い患部が柔らかくなっている為、「排膿湯」を。
 
この様に使い分けています。
 
排膿散及湯は両者を組み合わせ、「清熱」、「解毒」、「排膿」の全ての効果を発揮してくれるように用いています。

「排膿散及湯」まとめ

今回はざ瘡(ニキビ)を引き合いに出して色々お話しましたが、「排膿散及湯」はどんな症状の化膿にも使える万能の漢方薬です。
 
他でいうと「蓄膿症」「歯槽膿漏」などにも使う事が出来ます。
 
ただ使いずらい化膿性疾患もあり、その方の状態にあった漢方薬を飲むのが改善の近道です。
 
調剤時代は塗るお薬を出す事が多かったですが、漢方薬は内側から治す事が出来ます。
 
「内側からの体質改善」は漢方薬の魅力の1つですね。
 
今回ご紹介しました「にきび(尋常性ざ瘡)・吹き出物」に関しては、ホームページでお話ししています。
ぜひ参考にされてみて下さい。
 
太陽堂ホームページ にきび(尋常性ざ瘡)・吹き出物